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経営方針

取締役が会社を経営するにあたり、その経営の基礎となる基本方針を掲載しています。基本理念をはじめ、経営指標や配当政策、中長期の経営戦略、対処すべき課題について項目別にご説明いたします。

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

  • 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(2025年3月期 有価証券報告書より)

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1. 経営の基本方針

当社グループは、「経営理念」に基づき、当社グループの強みを発揮し、事業活動を通じて当社グループの中長期にわたる安定成長の実現と企業価値向上を図っております。

このため、経営の透明性・公正性・迅速性を確保することに加え、株主、顧客、取引先、従業員および地域社会などのステークホルダーとの信頼関係を構築し、共存共栄に努めております。

<経営理念>

ゲームというエンターテインメントを通じて「遊文化」をクリエイトし、人々に感動を与える「感性開発企業」

<当社グループの強み>

  • 安定的なキャッシュの確保と資本効率の向上による積極的な戦略的投資を実現する財務基盤
  • 独自の高度な技術と開発力による世界で支持されるコンテンツ(IP)の創出と多面的な活用
  • さらなる収益拡大に向けたデジタル戦略によるグローバルでの長期販売体制

2. 目標とする経営指標

当社グループは、事業の継続的な拡大を通じて、企業価値を向上させていくことを経営の目標としております。

経営指標として「毎期10%営業利益増益」の中期経営目標に加え、現金の動きを把握するキャッシュ・フロー経営を重視するとともに、資本効率の観点から、ROE(自己資本利益率)向上による企業価値の増大に努めてまいります。また、連結配当性向について、将来の事業展開や経営環境の変化などを勘案のうえ、30%を基本方針とし、かつ安定配当の継続に努めてまいります。

3. 経営環境および中長期的な会社の経営戦略

当社グループは、通信規格の高速大容量化、コンテンツの提供チャネルの増加、デバイスの多様化、グローバルベースでのユーザーの拡大など、事業環境は大きく変化を遂げております。このような状況下、当社グループは、これまで中期経営目標である「毎期10%営業利益増益」を10期連続で達成してまいりました。今後も、当社グループは、「最高のコンテンツで世界中の人々を夢中にさせる企業」を目指し、当社ブランドのさらなる浸透と新規ユーザーの獲得を図ることにより、世界220を超える国・地域へ販売する当社コンテンツの展開を、より一層拡大してまいります。

そのため、主力事業のデジタルコンテンツ事業においては、国・地域の特性に応じたマーケティングの強化とユーザーニーズの把握に努め、長期的な価格施策とグローバル販売の強化により、年間1億本の販売を目指してまいります。加えて、アミューズメント施設事業やアミューズメント機器事業において人気IPや主力コンテンツを活用した展開を図るとともに、映像作品への投資とその活用、ライセンス商品、eスポーツ等への展開により、IPの認知向上による潜在ユーザーの掘り起こしと収益機会の最大化に努めてまいります。

また、上記の戦略に加え、持続的な成長の原動力となる人材投資戦略を推し進めるとともに、開発体制および開発環境への投資を強化し、新規IPの創出と主要IPの活用によるパイプラインの拡充を図ることにより、引き続き中期経営目標の達成に取り組んでまいります。

このほか、当社グループは、事業活動以外にも、今年4月から開催の2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)において、大阪府・市などが出展する「大阪ヘルスケアパビリオン」への協賛、参加等により、地域・文化・技術の振興に努めております。

今後も様々な活動を通じて、経営理念である「ゲームというエンターテインメントを通じて『遊文化』をクリエイトし、人々に感動を与える『感性開発企業』」の実現に向けた取組みを行ってまいります。

4. 優先的に対処すべき事業上および財務上の課題

上記3. を推進するため、以下の課題に取り組んでまいります。

(1) 2025年3月期の事業別戦略

2025年3月期においては、前記3.の戦略に基づき以下の点を中心に取り組んでまいります。

ア. デジタルコンテンツ事業

当事業におきましては、今年5月に『カプコンファイティングコレクション 2』(Nintendo Switch、プレイステーション 4、Xbox One、パソコン用)および『鬼武者2』(プレイステーション 4、Nintendo Switch、Xbox One、パソコン用)を投入しました。また、6月にはNintendo Switch 2 向けに『ストリートファイター6』および『祇(くにつがみ):Path of the Goddess』を投入しました。加えて、当期発売の『モンスターハンターワイルズ』等のリピートタイトルについても、デジタル販売の強化と販売施策の推進により、収益の最大化と総販売本数の継続的な増加に努めてまいります。さらに、『ストリートファイター6』のeスポーツ展開の継続により、引き続きブランドの価値向上とユーザー数の拡大を推し進めてまいります。

イ. アミューズメント施設事業

当事業におきましては、新業態店舗の展開を継続するとともに、引き続き堅実な店舗出店、運営を進めてまいります。また、各店舗におけるイベント実施等により、リアル店舗の魅力の最大化と他事業とのシナジー効果の創出を図ってまいります。

2026年3月期は出店10店舗を予定しております。

ウ. アミューズメント機器事業

当事業におきましては、パチスロ市場をけん引しているスマートパチスロにおいて、人気IPを中心に新機種を順次投入してまいります。

2026年3月期は『デビル メイ クライ 5 スタイリッシュトライブ』を6月に投入したほか、3機種の投入により販売台数43千台を予定しております。

エ. その他事業

その他事業につきましては、『ストリートファイター6』を活用したeスポーツビジネスにおいて、今夏にサウジアラビアで開催されるeスポーツの世界大会「Esports World Cup」との提携を決定しております。当該大会と「CAPCOM Pro Tour 2025」を初めとした当社3大会との協力体制の構築により、『ストリートファイター6』のさらなる認知拡大に注力するなど、様々な施策によりグローバル市場での成長を図ってまいります。

また、当社IPの全世界への浸透拡大を図るため、コンテンツの映像化推進や他業種とのコラボレーションを通じ、ワンコンテンツ・マルチユース戦略の強みを最大限に生かした施策をグローバルに推し進めてまいります。

これらにより引き続き、コンテンツのブランド拡大を図るとともに、コーポレートブランドの価値の最大化に努めてまいります。

(2) サステナビリティへの取り組み

当社グループは、経営理念のもと、事業活動を通じて当社グループの中長期にわたる安定成長と企業価値向上に努めるとともに、すべての人々が安心してゲームを楽しめる世界の実現に向け、環境、社会問題における共通課題の解決に積極的に取り組んでおります。

当社グループは、これらの取組みを通じて株主、顧客、取引先、従業員および地域社会などのステークホルダーの皆様との信頼関係を構築し、より良い未来の実現を目指してまいります。

ア. 人材投資戦略

当社グループは、企業価値創造の源泉である人的資本への取組みを最優先課題の一つとして位置づけており、最高人事責任者(CHO)を設置し、人材投資戦略を推進しております。

今後も、以下の取組みを実行することにより、企業価値の向上を図ってまいります。

(ア) 将来を支える人材の確保と育成

当社グループは、中期経営目標の継続的な達成のため、中核的競争力である開発体制の拡充を図るには、人的資本への投資による開発人員の増強と生産性向上が重要であると認識しております。

そのため、当社グループは毎年100名以上の開発人員の増員を推し進めるとともに、2022年から当社正社員に対し、平均基本年収の30%増額、業績連動性を高めた賞与制度の導入、従業員向け株式報酬制度の導入等の施策を実施するなど、人材の採用力強化と定着を図っております。この結果、2025年3月期末における開発人員数は2,846名となっております。

引き続き、2025年4月に新卒初任給を月額30万円に引き上げ、報酬面での採用競争力を高めるとともに、産学連携施策や中途採用のチャネル拡充等の推進により、優秀な人材の確保に努めてまいります。

また、若手社員の早期育成のため、メンタートレーニング研修等を導入し、将来を支える人材の育成・強化を図っております。

(イ) 働く環境の整備と向上

当社グループは、開発の大規模化と技術の高度化に対応するため人員の増強を図っており、開発体制を支える環境および設備の拡充に向けた、事業用資産としての不動産取得等の成長投資を進めております。

また、人権を尊重する会社風土の醸成と働きやすい環境の整備に努めており、研修による役職員の意識向上や、経営層と従業員との直接対話の機会活用などの取組みを推進しております。引き続き、従業員の離職防止およびエンゲージメント向上に向け、より良い働きやすい環境づくりに注力してまいります。

(ウ) 人材の多様性の確保

当社グループが、今後より一層の開発人員の拡充を図っていくためには、多様な背景を持つ人材が能力を最大限に発揮できる環境づくりが必要であると考えております。

そのため、当社グループは、性別、国籍、年齢等に関係なく採用や評価等を行うなど、多様性のある人材の確保・育成に努めております。

当社は、2029年3月末までに男性の育児休業取得率85%以上、正社員における男女間賃金格差(女性正社員の平均賃金を男性正社員の平均賃金で割った比率)を88%以上とする目標を設定するほか、パートナーシップ制度の設置、介護セミナーの実施等の取組みを行っております。

また、2025年3月期末の当社における外国籍従業員の出身国数は36カ国となっており、一時帰国のための特別休暇制度や日本語教育等の施策を導入しております。

引き続き、多様な背景を持つ人材が活躍できる環境づくりのため、各種取組みの推進と制度拡充を図ってまいります。

(ご参考)

  2021年3月末 2022年3月末 2023年3月末 2024年3月末 2025年3月末
連結従業員数(名) 3,152 3,206 3,332 3,531 3,766
うち開発職(名) 2,285 2,369 2,460 2,675 2,846
平均年間給与(単体)(千円) 6,034 7,127 7,660 8,328 9,185
従業員1人当たり営業利益(連結)
(千円)
10,975 13,384 15,249 16,165 17,466
離職率(単体)(%) 3.9 5.4 3.5 2.9 2.8
男性育児休業取得率(単体)(%) 21.5 34.5 45.5 66.7 79.7
男女間賃金格差(単体)(%) 79.4 82.9 85.4 83.8 82.8

(注)いずれも正社員のみを集計対象としております。なお、男性育児休業取得率については、臨時社員を含む全従業員を集計対象としております。

イ. 情報セキュリティの強化への取組み

当社グループは、ゲームコンテンツを世界220を超える国・地域で販売しており、情報が企業活動に重要な影響を与えるものと認識しております。そのため、個人情報保護法制への対応はもちろんのこと、各国で整備が進められる未成年者保護などの法制への対応の強化を図っております。

加えて、国内外の様々なサイバーリスクへの対策が不可欠との認識のもと、情報セキュリティに関する法令等を遵守し、情報セキュリティ体制の強化に取り組んでおります。

これまでも、外部アドバイザリー組織であるセキュリティ監督委員会を定期的に開催するなど、同委員会の助言等も踏まえ、継続的なシステムの運営・監視や、万一セキュリティリスクが顕在化するなどの非常時が発生した場合でも早期対処・復旧できる体制の構築等に努めており、今後もPDCAサイクルに基づく情報セキュリティ体制の維持および強化を図ってまいります。

また、当社役職員に対する教育・訓練等を実施のうえ、取締役会に結果を報告するなど、情報セキュリティへの意識向上に努めております。

ウ. 環境への取組み

当社グループの連結売上高の約75%を占めるデジタルコンテンツ事業は、ソフトウェアの開発・販売を主な事業とし、一般的な製造業に比べ環境負荷および気候関連リスクは低いと認識していることから、気候変動に係るリスクおよび収益機会が当社の事業活動や収益等に与える影響は少ないと判断しております。

しかしながら、気候変動への対応は地球に住むすべての人々が協力すべき課題ととらえ、当社グループは、他社に先駆けてコンテンツのデジタル販売を推進し、ディスク製造および運送に伴う資源削減やCO2排出量の削減に努めてまいりました。また、パチスロ機の製造・販売において省電力対応や一部パーツのリサイクルなど、環境負荷の低減に取り組んでおります。

さらに、当社グループは環境対策の一環として、関西圏の自社所有ビル等に対して再生可能エネルギー由来のCO2フリー電力を導入しており、日本国内における当社電力使用量のうち同エネルギーにより約27%が賄われております。加えて、当社東京支店におけるグリーン電力の導入や、その他の事業拠点におけるCO2フリー電力の導入拡大により、CO2排出量の削減を図っております。また、節電対策を施した自社データセンターの使用などの取組みを行うとともに、再生可能エネルギー使用を促進している大手クラウドサービス企業や大手データセンターサービス企業を利用するなど、一層の環境負荷低減に努めております。

(3) コーポレート・ガバナンスに関する取組み

当社グループは、経営の透明性、健全性を高めるとともに、環境の変化に対応できる体制の構築と、中長期的な企業価値の向上を図るため、コーポレート・ガバナンスの継続的な充実に取り組んでおります。

加えて、ステークホルダーの皆様との信頼関係を構築し、共存共栄に努めております。

ア. コーポレート・ガバナンスの強化

当社は、ステークホルダーの皆様の立場を踏まえた、持続的な成長と中長期的な企業価値向上の実現に向けて、取締役会における多様性の確保と社外取締役の積極的な参画機会の拡大を図り、取締役会の機能強化に努めております。

また、社外取締役を委員長とする指名・報酬委員会(委員の過半数は社外取締役)や社内取締役と社外取締役の意見交換会等を通じた情報共有や相互理解により、経営の監督機能の強化を図っております。

2024年は、新たに女性社外取締役1名を選任し、女性取締役を2名とするなど、取締役会の多様性の確保を推進しております。加えて、業務執行取締役の報酬制度について、報酬の業績連動性を高めるとともに、業績連動型株式報酬制度を導入することにより、株主の皆様との一層の価値共有を図っております。

イ. リスク管理体制の強化

当社グループは、持続的な成長のためには、事業の遂行に伴い生じるリスクを適切に管理する体制の構築、運用が不可欠であると認識しております。また、リスクに係る所管部門がリスクの分析、評価、対応の検討を行い、想定し得る危機の未然防止を図ることに加え、当社グループに重大な影響を及ぼすリスクに対する組織横断的な管理体制の強化が重要であると考えております。

そのため、当社は、当社グループにおける各種のリスク管理を統括し、その状況を取締役会へ報告するなどの体制整備に向け、組織的対応を図ってまいります。これにより、内部統制への取組みやコンプライアンスの推進など、内部管理体制の充実を図り、コーポレート・ガバナンスが有効に機能するよう努めてまいります。